2024/04/23
オーダーメイド
石毛 龍 さん
2013 建築工学科卒業(赤堀研究室)
「みなさんはオーダーメイドで自分のものをつくった事がありますか。」
在学時代、八束はじめ教授が講義の中で、私たちに問いかけてくれた質問です。
この質問を投げかけられた時、当時の私の頭の中には、野球に打ち込んだ高校時代、お正月の年賀状配達のアルバイトで貯めたお金で買った、オーダーメイドのグローブが頭に浮かんでいました。
2015年に芝浦工業大学大学院を卒業した後、アトリエ設計事務所に約6年間勤め、その後フリーランスに転身。それを機に、設計に加え、それまで興味のあったものつくりの現場側の世界に足を踏み入れるため工務店のドアを叩きました。
その工務店では、所属する大工さんと共に木造の改修~防音内装~造作家具製作などを経験させてもらいました。最初は荷物運びのお手伝いから始まり、案件を重ねていく中で、設計のバックグラウンドがあったこともあり、図面を引かせてもらいつつ、大工さんと共に製作・納品までさせてもらえるようになりました。
現在は個人事業主として主に設計の仕事を請け負いつつ、一方で、ものつくりに携わる方々からいただく「名もなきものつくり」の仕事に携わっています。
「名もなきものつくり」と呼ぶのは、これらの案件がリクエストを受けた時点では、一つの一般名称で表せるものでは無かったり、まだ作り方も定かでは無かったりするからです。
これらの依頼をしてくれるのは、設計やプロダクト製作の専門家です。
私はデザインや工法について、時には設計者の目線から、時には施工者の目線から、これまでの知見の共有や、モックアップを作りながら議論を重ね、実際の製作を担っています。
冒頭の八束教授の問いかけに戻ります。あの問いかけに対し、今の私には、携わってきたプロジェクトや、声をかけてくれた方々の顔が思い浮かぶようになっています。
このようなものつくりが必要な際には、ぜひお声かけをお待ちしています。
ARUNŌのBINGO(棚):設計者・プロダクトデザイナーと協働し、設計から現場設置まで一貫したプロジェクトとして実施した。
M邸の窓辺:家族の居場所になる大きな遊具のようなベンチ。その下にはこどものおもちゃが大量に収納される。
間仕切りのための実験:大量の穴を空けた合板(左)大量の薄ベニヤ板を貼った合板(右)モック製作の途中では、想定していたものを超えるときがある。