2024/08/01
自分の手でモノをつくる
清水 裕生 さん
私は都内の工場で看板の製作をしております。製作といってもかなり幅広いですが、
簡単に言うと一枚の板金やパイプなどから看板が完成するまで自分の手でつくりあげる仕事です。
元々私は環境分野やエネルギー関連に興味があり、大学時代は秋元先生の研究室で建築設備分野について学ばせて頂きました。その後、ゼネコンの設備職に就職し建築設備設計や現場管理の仕事をする中で、ショッピングモールや消防署、大型マンションなどの大きなものづくりに携わりました。
ゼネコンでの仕事はとてもやりがいがあったのですが、働いている中で自分が本当にやりたいことは自分の手でモノをつくることだと思うようになりました。そう思ったのも現在の看板製作の仕事を立ち上げた父の影響が大きかったのだと思います。
ゼネコンを退社後、父の営む工場を継ぐことを決め看板製作の仕事を始めました。大きな企業から下町の工場へとキャリアを移したギャップはかなりありましたが、前職で培った経験を生かせることも多く、何よりものづくりの楽しさを感じることができました。自分の良く知っている企業やブランドのサイン、再開発が進むランドマークのサイン、時には店舗の什器や内外装の金物、照明器具など製作する内容も様々で基本的にすべてオーダーメイドなので同じものをつくることはほとんどありません。オーダーメイドだからこそ毎回悩むことも多いですが、試行錯誤を重ねつくったものが街中に綺麗に馴染んでいるのを見かけた際はとてもやりがいを感じます。
最近では大学時代の友人の紹介からアーティストの方の作品づくりや有名ブランドのインスタレーション作品など看板だけに捕らわれず様々なものに携わらせて頂く機会があり、作品に対する発想や思いを直接聞かせて頂くことで、その思いを限りなく再現し形にすることが私にできることなのだと感じています。
また友人から開業する際の相談を受けることも多く、身近な人の人生の分岐点に関われることも嬉しく思います。