2024/10/03
駅舎づくりは思い出づくり
飯嶋 優 さん
2013年の卒業後、駅舎を扱う組織設計事務所に勤務して11年になります。
駅舎は人々の出会い/別れ、巣立ち/帰郷などの印象的な場面の受け皿になったりします。 私はそんな風に人々の思い出の一部になり得る駅舎を大事に作っていきたいという想いで今の仕事についています。
駅舎にまつわる私自身の体験として、地元長野駅の姿の変遷があります。幼少期の長野駅は合掌造りで威厳ある三代目駅舎。セピア色のぼやぼやした記憶ですが、幼いながらに地元の駅の顔として誇らしい存在に感じていました。その後、冬季オリンピック、長野新幹線開通に向けた改修で合掌造りの駅舎は姿を消します。まちは活気づいていく一方で、大切な駅舎が無くなってしまった喪失感がありました。
それから時は流れ、北陸新幹線延線の開業と合わせて進められた長野駅善光寺口開発の一部(自由通路と観光案内所)に設計者として携わることになりました。新幹線改札を出て最初に目にする空間の一部を担当しています。訪れた人が信州の地に降り立ったことを実感できるような作りを目指しました。幼いころに感じた喪失感が、新しい駅舎の姿で穴埋めされる充足感は言葉にしがたい喜びでした。この時、地元のために汗をかいた時間が私の原点です。
設計事務所の仕事とは別に、「地元で何かをしたい」という想いを持った高校の同級生と小さな平屋の一軒家を、壊したり直したりしながら、「何かの拠点」を目指して取り組んでいます。こんなことがしたいと相談すると親身に乗ってくれたり、現地に駆けつけてくれたり、と芝浦卒業生の繋がりには度々救われています。皆さんいつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします!