わたしの現在地/知 – 若林 拓哉

若林 拓哉
(わかばやし たくや)

2016年 芝浦工業大学大学院理工学研究科
株式会社ウミネコアーキ
代表取締役

いま建築に没頭できているのは偶然であり運命的でした。

建築家の名前もろくに知らずに入った建築工学科。そんな中、学年担任だった八束はじめ先生の授業で近代初期〜現代までの建築家の作品を網羅的にインプットしたことで、建築の世界の広大さを目の当たりにします。そして数々の海外建築家たちの発想・形態の自由さに憧れ、次第に建築へのめり込むように。学部では赤堀忍研究室に所属、修士は八束先生の後任で新設された西沢大良研究室へ。そこで哲学・経済学・文化人類学etc.といった様々な背景から俯瞰して都市/建築の在り方に向き合い、研究テーマであった港湾都市の分析に熱中したことがいまもわたしの思考のベースになっています。

大学院修了後は、“いまの建築界はDown to Earthすぎる”という八束先生からの投げかけと、西沢研で培った理論を実現するため、何処へも所属せず抗ってサバイブする方がベターだと考えフリーランスとして活動開始。とはいえ建築士の資格も必要なので、そんなマインドでも受け入れてくれた「つばめ舎建築設計」とパートナーとなり、実務を学びつつアートプロジェクトや論稿執筆、展示キュレーション等に個人で取り組んでいました。

2022年1月に法人化し、現在は設計スタッフ・メンバーが自分を含め4名、それ以外にバックオフィス・不動産コンサル・リサーチャー・グラフィックデザイナー・広報のメンバーが5名という多角的な構成で「なぜ・何を・どのように建てるのか?それは本当に必要なのか?」といった建築の社会的価値を再考しながら仕事に向き合っています。そのために、契機となる2018年に手がけた職住一体型アパートの改修プロジェクト「欅の音terrace」(つばめ舎建築設計と協働)から、設計だけでなく企画から不動産・運営まで手掛けることに意識的に取り組んでいます。現在も自社でマスターリースしている、元・郵便局を地域の文化複合拠点へ改修したプロジェクト「ARUNŌ -Yokohama Shinohara-」やSDレビュー2022に入選した「新横浜食料品センター」で企画〜運営まで包括的にデザインしています。

建築の可能性と深さを知り、いま道が開かれているのは、芝浦工業大学で得た数々の経験の賜物だと感じています。

欅の音terrace
ARUNŌ
SDレビュー2022新横浜食料品センター