設備設計者として

高須 眸  さん

略歴

2018.3 理工学研究科 建設工学専攻修了(秋元研究室)
2018.4 株式会社東急設計コンサルタント
2024.3 株式会社日建設計

機械設備設計職に就いて、今年で8年目になります。 自分がこの仕事に進み、歩んできたこれまでを思い返し、設備設計者としてのこれからを書きます。

自分の将来があまり想像できていなかった学部3年のある時、建築環境工学の授業を契機に建築設備の分野に興味を引かれました。熱・空気・光・音など、それまで強く意識していなかった自分の周りに当然としてあるものが人にどう影響を与えるのか、より知りたいと思ったのがきっかけでした。 当時環境システム学科に在籍していましたが、他学科であった建築工学科の秋元研究室で卒業論文を書き、同研究室で建築環境や建築設備の研究に取り組んで修士論文として纏めました。 就職活動では研究室で学んだ「我慢をしない省エネと快適さの両立」を多くの方が利用する建物で実現したいと考え、組織設計事務所の機械設備設計に進む決意をしました。

最初の職場では事務所、商業施設、集合住宅など、建物用途に関わらず担当することが多く、基本設計から工事監理まで一連の業務を行っていました。中でも、設備負荷の高くなりがちな商業施設の用途でZEB Ready認証を取得した設計に携われたことは、私の中で大切な経験の一つです。建物の利用実態に応じた機器容量の適正化を行うことがいかに重要か業務を通じて感じることができました。 その一方で、他にも省エネ建築の提案を行う機会がありましたが、当時「省エネ=我慢≠快適」のイメージが一般的に根強く残っていたことに衝撃を受け、この認識を払拭していくのも設計者としての役目であると強く感じたことを覚えています。

昨年同業の組織設計事務所に転職し、現在はこれまで経験のなかった公共建築を担当しています。社会的責任の大きい建物の設計に携わる中、事業主の要望に即した計画を検討すると共に、利用者の視点に立った「快適性と省エネルギー性の両立した空間」を目指して日々取り組んでいます。 利用者に寄り添う空間の理想と限界との間で葛藤を感じることも少なくありませんが、その中で最善の選択は何か模索し続けることこそが、私たちがいる理由だと思います。たとえそこに困難を感じたとしても、前向きに強く進んでいける設計者でありたいと思っています。

最後に、現在までを振り返り本当に思うのは、どこへおいても出会う人に恵まれているということ。 これからも関わる全ての人への感謝を忘れずに、社会に貢献できるよう今後も設備設計者として日々精進していきます。

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